婚姻を継続し難い重大な事由 – 知って得する離婚マニュアル
夫婦・離婚の問題

婚姻を継続し難い重大な事由

婚姻を継続し難い重大な事由とは

夫婦関係が破綻してその復元の見込みがない場合には、民法770条1項の1号~4号には該当しなくとも、婚姻を継続し難い重大な事由として、離婚原因になることを認められています。離婚調停や離婚訴訟においては多く争われているところであります。どのようなケースが離婚原因として認められるかは、内容も幅広く、限定されていません。同じようなケースでも離婚が認められる場合と、認められない場合があり、個々の事情において裁判官が総合的に判断します。

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性格の不一致

家庭裁判所に持ち込まれる離婚理由で比較的多いのが「性格の不一致」です。複雑な離婚原因を一言で言い表してくれる、便利な言葉ですが、しかしこの言葉ほどさまざまな背後にある事情を秘めているものはありません。

夫婦とは、生まれも育った環境も違う男女が、自分と違う相手の性格に惹かれて結婚したりするわけですから、多少不一致があるのはむしろ当然のことです。従って、性格の不一致と言えば、いつでも離婚できるわけではありません。性格の不一致だけを理由に離婚の請求をするのは、その判断基準も難しく、お互いの努力によって、円満な婚姻関係の改善に余地があると判断されれば、裁判離婚では離婚の勝訴判決はなかなか得られないと思われます。

性格の不一致が原因となり、一緒に居ると精神的に抑圧される程愛情が喪失している場合や、客観的に見て円満な婚姻生活が維持することが期待できない場合のみ、離婚の請求が認められています。

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暴力沙汰・暴言・侮辱

家庭内での暴力行為・虐待は、婚姻を継続し難い重大な事由として代表的なものです。例えたった一回の暴力であっても、怪我の具合、動機やその他の言動からみて、離婚原因となることもあります。

もちろん暴力行為も程度問題で、喧嘩のはずみ程度では離婚原因として認められません。暴力を振るった方と振るわれた方では受け止め方が違いますが、顔が腫れ上がる、体のアザが絶えない、鼻血が飛ぶ、また酒乱で酒癖が悪く、子供にも手をあげるなど、ある程度繰り返されれば離婚原因として認められている例は多くあります。暴力は夫婦生活の悪の典型となることは明らかで、裁判の判決でも暴力を振るう配偶者には厳しい傾向がうかがえます。相手の暴力によって破損した物や破られた衣類、散乱した部屋の様子は写真に撮り、怪我をした場合は、証拠として医師の診断書等で事実を証明することが必要となります。

離婚原因となるのは身体に対する暴力だけではなく、言葉による暴言、性的な暴力、侮辱、脅迫、威嚇、また配偶者に対して思いやりといった消極的な態度も含まれることもあります。
これも程度問題で喧嘩のはずみで言った程度では、離婚は認められません。ある程度繰り返されて、その為愛情を失い、もやは元に戻る余地がないほど破綻してしまったと判断される場合は、離婚請求が認められます。

これまでは家庭内暴力については、警察も「民事不介入」の原則から「家庭内の問題」と軽視され、問題にされないことが多くありましたが、平成14年4月にドメスティックバイオレンス法(DV法:配偶者間暴力)が施行され、警察に保護を求めることができるようになりました。配偶者の暴力がひどい時には、配偶者暴力相談支援センターなどに援助や相談をすることをお勧めします。

ドメスティックバイオレンス

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性的な不満、性的異常

性生活の不満が離婚原因として直接表面に出ることはありませんが、過去の判例でも、夫婦の性生活が円満な婚姻生活の重要な要素として認識されています。

どのような性行為が異常かは一概には言えませんが、過去の裁判でで認められたものとして、ふとんの上で靴を履かせるなど性的嗜好が異常だったり、SMのような行為を強要したり、異常な性欲で拒絶すると暴力を振るうなど、相手の意思に反して、継続して強要する場合には、婚姻を継続し難い重大な事由として認められています。

性生活と言っても、各夫婦間で異なることは間違いなく、どのような性生活でも夫婦が合意の上なら問題になりません。

他に性的な不満としては、夫が性的不能な場合や、ポルノ雑誌にばかり興味を示し相手に対して性的関心を示さずセックスレスだったり、また同性愛者であることを隠して結婚した場合も、その改善の期待できず、性生活のために夫婦間の愛情が喪失し破綻に至ったと判断されれば、離婚原因として認められています。

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両親・親族との不和、嫁・姑の問題

夫婦間には特に離婚の原因はないのですが、双方の親の対立や、配偶者の親族との不仲から離婚に至るケースも少なくありません。典型的なのは、嫁・舅や姑の対立でしょうが、嫁と姑との関係がこじれたとしても、直接夫婦の問題とは言えません。しかし配偶者の両親と同居となれば、どうしても夫婦関係に影響を与える問題です。

但し、配偶者の両親・親族との不和は、性格の不一致と同様に、それだけの理由では離婚請求が認められません。妻、又は夫は両親・親族と自分の間を調整する義務があります。不和の解消の為の努力を怠る妻、又は夫からの離婚の請求は認められないということです。調停ではまず家庭円満の努力を要求されます。

妻が同居する夫の両親との不和を改善しようと努力しているのに、夫が間に入ってくれず無関心だったり、または両親に加担して妻に辛く当るなどという場合には、夫に婚姻破綻の責任がありますので、それを理由に離婚の請求ができます。

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信仰・宗教上の対立

信仰及び、宗教活動の自由は憲法で保障されていますので、信仰の違いだけでは離婚原因として認められません。信仰及び、宗教活動の自由は、夫婦の中でも守られなくてはいけません。

しかし近年、宗教活動が原因となる離婚裁判が増えています。宗教活動にめりこみ、勧誘のためにほとんど毎晩外出し、仕事、家事、育児などをおろそかにして家庭崩壊を招くなど、節度を超えた宗教活動などは離婚原因として認められています。

信仰の自由といっても夫婦生活を営む以上、相手方の意見や立場を尊重し、お互いの理解と納得が必要です。

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ギャンブル狂や浪費、怠惰

健康な夫が、怠け者で働こうとせず、徒食浪費してサラ金から借金をしたり、ギャンブル癖があり収入をつぎ込んで長期間家庭に生活費入れない場合は、夫婦の扶養義務違反に当たり、悪意の遺棄として離婚原因として認められます。

また返す見通しも無く借金をして、その返済を配偶者に求めたり、家庭が経済的に困窮するほどの高価な衣服や道楽品などを買いまくるなど、円満な婚姻関係が継続できないと判断されれば、離婚請求として認められます。

浪費癖やギャンブル狂などを離婚原因として認めてもらうには、法定離婚原因を満たすだけの根拠と、事実を証明できる証拠(レシート、銀行の通帳のコピー、日記など)を集める必要があります。

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犯罪を犯し服役している

夫婦の一方が犯罪を犯し服役した場合でも、殺人などの重大犯罪でない限り、直ちに離婚原因として認められることはありません。但し、軽い犯罪でも何度も懲役刑の執行を受け、家族の生活に重大な支障を与えるなど、正常な婚姻生活が営めないと判断されれば、離婚原因として認められます。

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家事や育児に協力しない

共働きの夫婦なのに夫が子育てや家事に非協力的な場合、夫婦の扶養義務違反として離婚原因として認められることがあります。

夫が育児や家事に協力しないことで、直ちに離婚が認められることはありませんが、この事が原因で婚姻関係を破綻させ、その改善の期待できないと判断されれば、離婚原因の「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたり離婚が認められることがあります。専業主婦である妻が家事や育児を放棄してしまえばこれも悪意の遺棄と判断され、離婚請求として認められます。

 

 

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